インプラント

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94.今も昔も変わらないインプラントへの願い

歯は「若さ」と「美」、そして「力強さ」の象徴ですが、歯が丈夫なときにはそのことに気付きません。しかし、実際にその歯がなくなってみると、ほとんどの人は何とか健康な歯を取り戻したいと思い始めるのです。このような願いは、今も昔も変わりはないようです。遺跡からもそのことがわかります。例えば、メソポタミア(イラク、シリアのチグリス、ユーフラテスの2つの河流域で、人類最古の文明が繁栄した地域)やインカ(15~16世紀初頭にかけて繁栄した南アメリカのインディオが作った帝国)の遺跡の中からは、顎に黒耀石やヒスイのような緑色の石を埋め込んだ人骨が発見されています。この時代にインプラント(人工の材料で作り、顎の骨の中に埋め込んで歯の支えとなるもの)が行われていたことに我々は驚きますが、当時の人が、何とかしたいと考えていたのは確かなようです。ただし、その治療が誰でも受けられたかと言うと、そうではなく、一部の権力者の特権であったと見られます。また、古代ギリシャやフェニキア(地中海東岸の一地方に対する古代名)では権力者が、奴隷や部下の歯を抜き、自分の顎に埋め込み、骨折や抜け落ちた歯を黄金線で固定したと言われています。現在でも天然歯の植え直し、金属線の固定は行われており、当時も相応の効果があったと推測されます。

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